サトシには、きっとシゲルには無い、 「素質」というものがあるんだと思います。 でも、サトシ本人はもちろん、周りの人もそれには気づかない。 それほど少ししか外に現れないサトシの”ポケモントレーナーの「素質」”。 でも、シゲルだけはそれに薄々気づいている。 普通の人よりポケモンに詳しいオーキド博士。 彼の元で育ったシゲルは、究極のポケモントレーナーに必要なもの、 つまり「素質」とは何か、を、 はっきりとはしていないだろうけれど、分かっていたんだと思います。 肌で感じることができたんだと思います。 そのシゲルが、サトシの「素質」に気づいた。 (気づいたのは、あの「釣り事件」より以前のことでしょう。) 自分より、サトシがポケモントレーナーに相応しい? このぼくが、サトシに劣っている・・・? ぼくはオーキド博士の孫なのに? そうだ、ぼくはオーキド博士の孫なのだ。 だから、人より劣っちゃいけないんだ。 ましてや同い年で、でもぼくよりドジな、あのサトシになんて。 シゲルは悩んだと思います。 (とは言っても、オーキドの孫であるという事実を恨んだり、 嫌だとは思ったりしないでしょう。 良識のあるシゲルのことですから誇りであると認識しているはずです。) そして、悩むことによって、サトシに引き分けることすら、 自分の負けだと思うようになった・・・。 サトシに勝つ。 そうすれば、ぼくはサトシを越えていることが証明される。 ぼくには”サトシを越えるトレーナーの「素質」”があるんだと証明される! 旅立ったころのシゲルはまだ若かった。 この結論まで達したけれど、それを素直に受け止めることはまだ大変で。 だから、感情を上手く外へ出すことができなくて、 サトシをおちょくったり、女の子を引き連れたり、車に乗って旅に出たりした。 シゲルは内心迷っていたはずだ。これで良いのだろうかと。 でも、気持ちに整理が付かない。そんなうやむやした状態。 心の優しいシゲルは、自分が悩んでいると周りに気づかれないように、 そして、周りに心配をかけさせないようにと、 無理に明るく、キザに振る舞った。 しかし、その結果がセキエイリーグでのバトルで現れた!! 無理に自分を偽ってきた代償が、リーグ戦での敗退となって跳ね返ってきた。 しかしそれは、シゲルを、旅立つ前のシゲルにまた戻させた。 もう一度、シゲルが自分を見つめ直せるよう、チャンスをもたらしたのだ。 シゲルは振り返る。 自分の今までしてきたことを。 シゲルは思い出す。 旅立つ前、サトシに対して抱いていた、「負けたくない」という感情を。 そして、自分がこれから何をすべきか、 その答えを見いだす。 これにより、シゲルは現在のように、 静かで、でも、気迫のあるトレーナーになったんだと思います。 私がここまでサトシを評価しているのは、 私が単なる「サトシ大好きv」だからだけではありません。 それは、最近の、サトシのバトルの仕方から気づいたことのなのですが・・。 サトシのバトルの指示の仕方でよくあるのが、 単なるわざ名を言うのではなくて、 今回で言えば、ケンタロスに「岩を吹き飛ばせ!」とか ヘラクロスに「炎なんか吹き飛ばせ!」など、 (今回に限らず、このリーグ戦ではしょっちゅうなのですが。 また、もちろんサトシ以外のトレーナーもたまに使うのですけれど。) 「曖昧な指示」が多いんですね。 私は、そういう「曖昧指示」に、 ひょいひょいと上手にそれをこなすサトシのポケモンが、 やけに上手くできてるなー、よほどレベルが高いのか、 たまたま知能の高いポケモンをゲットしたのか・・・など、 正直、疑いのまなざしで見ていたんですね。 あまりに上手くできすぎていないか。 いくらサトシのポケモンだからって・・・都合が良いような? と。 私たち視聴者は、サトシの「高レベルなトレーナー」という姿を 今まで見ていないんですよ。 もちろん、いくつかそのような話はありました。 でも、前後で、「おっちょこちょいなサトシ」な話があるから、 やはりそれは持続される強さじゃない。 ひょっこり出てきた、すさまじい運、という感じの。 でも、リーグ戦に入り、連続するサトシのバトルを見るようになってから、 段々と、サトシの強さに信頼ができてきた。 そして、その強さというものは、前述した通り、 『少ししか外に現れない』ものだから、今まで分かりにくかったのだ、 ということに気づいた。 さらにそれに、オーキドの解説も加わる。 日々、草原を走っていたことで足腰が強くなったとか、 蜜をなめ続けたことによって抵抗力が高まったとか・・・。 サトシの育て方も、自然で、案外、悪くなかったのね。 なにも、いつも持ち歩いて、コツコツ育てるだけでなくても強くなるんだ。 むしろそれはサトシに合っている育て方なのかもしれない。 それだけ、サトシはポケモンの力の源を引き出せる能力がある、ということだ。 というわけで。 そうか、そうだったのか。 だからここまで勝ち上がってこれたんだ。 単なる運ではなくて、サトシにはちゃんと素質があったのだ。 それゆえに、シゲルがあそこまでピリピリしているんだ。 ・・・という結論に達しました。 ハルミ 021011
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