はっ、と目が覚めた。 真っ黒な夜空と、きらめく一面の星。 見慣れた部屋の天井とは全く違うその視界に、 一体自分がどこにいるのか、理解するのにしばらく時間がかかった。 ここは、2ばんどうろ。 少し小高い丘を選んで、リュックに詰め込んでおいた寝袋で 一晩を過ごすことを決めたのは、つい数時間前だったことを思い出す。 今の時期、夜はそんなに寒くないから、 次の町まで、しばらくはこのスタイルでも大丈夫だろう。 あんなに待ち望んでいた旅立ちも、 いざ、始まってみると、普通にしている自分がいて、 なんだか正直、あっけない。 いや、そうでもないか。 こうして、「あぁ、旅に出たんだなぁ」なんて思い返すと、 あらためて、自分のいるこの状況がリアルに感じられてきた。 そう、ぼくは、旅に出たんだ。 ふと、母親の顔を思い出す。 いつになく笑顔が元気さを増していたけれど、 なんだかそれが逆に強がっていることを示していた。 いかん、考えたら、鼻が痛くなってきた。 『かちゃり・・・』 動かした手が、腰にあるボールに触れた。 ぼくの大事な…パートナーだ。 なんだか、まだ、現実感が湧かない。 だって、あんなに待ち望んでいたものが、 この、あったかくも冷たくもないボールの中にいるなんて… 手にとって、掲げてみる。 ぼんやりとした月の光を受けて、 なんだか神秘的に輝いている。 憧れていた思いと、手に入れた嬉しさと、 新しいトモダチとのこれからの冒険を思い描いて、 きっと、今夜は眠れないんだろうな。 新米トレーナー@2ばんどうろ ハルミ 050528
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